平成4年度 東京都建築士事務所協会港支部 研修見学会(沖縄)
活動報告                          文責:写真 綱川智久
コロナ禍で中断されていた港支部研修見学会が3月9日より3日間の日程で16名のメンバーで沖縄を訪問し建築やまちづくりについて見聞を広めました。天候に恵まれて、暖かい沖縄で参加者の懇親を深め無事に当初の成果を修めました。

3月9日(木曜日)
 早朝7時30分に羽田空港第に全員集合し出発となりました。
全国旅行支援により旅行者は増大し手荷物検査場は長蛇の列となり、出発便は軒並み遅れ約10分遅れで那覇空港行きの飛行機は無事出発しました。空路一直線に那覇空港へ向け揺れも無く定刻に到着しました。空港より定期リムジンバスで最初の訪問地 北谷町 美浜タウンリゾート「アメリカンビレッジ」に到着しました。
注:アメリカンビレッジ:那覇空港から車で約40分、沖縄とアメリカの街並みが融合した異国情緒あふれるリゾートタウンです。米軍施設の返還に伴い、地域の特性を生かしてアメリカの雰囲気を再現する街への開発が始まりました。1997年からエリア内の施設が順次開業し、2004年にほぼ完成。その後も時代のニーズに合わせた街へと進化を続けています。海と街が一体となったリゾートタウンのデポアイランドエリア。インポートマーケットやアパレルショップ、レストランやカフェ、シネマコンプレックスやライブハウスなど、ショッピングにグルメ、エンターテインメントが揃っています。

 同ビレッジ内のレストランにてアメリカンなステーキを中心の昼食を摂りビレッジ内のショップ等を各自散策しました。
 タクシーに分乗し約50分で宿泊先の沖縄本島中部恩納村のANAインターコンチネンタル万座ビーチホテルに到着。各自夕食まで万座毛のビーチ散策や大浴場へと自由に過ごしました。

夕刻 全員ダイニングルームにて沖縄料理を中心としてバイキングに舌鼓を打ち、地元のオリオンビールや泡盛で喉を潤し浴びていました。そして熟睡へ。

【ホテルロビー】 【ホテル入口での集合写真】 【客室からの風景】


3月10日(金曜日)

 各自ホテル内レストランで朝食を摂り(インバウンドの方が大勢)貸し切りワゴンハイヤーに分乗し出発、今回の研修メインの有名建築物の見学をしました。
1.名護市庁舎見学
象設計集団(Term Zoo(象設計集団+アトリエ・モビル))のコンペ入選作品の有名建築
第33回日本建築学会賞作品
築後42年を経て老朽化が進み昨年7月より名護市は「名護市庁舎等更新検討に関する基礎調査」を立ち上げ保存・建替えを含め今後の市庁舎の方向性を検討している。
市庁舎概要(公開資料)
   所在地  : 沖縄県名護市港一丁目1番1号
   敷地面積 : 12,201.1 平方メートル   
 延床面積 : 7,351.8平方メートル
   構造・階数: 鉄骨鉄筋コンクリート造、3階建
〔軒高14.6メートル 最高21.6メートル〕
   期間   : 設計競技(2段階・公開)1978年8月~1979年3月
        設計                          1979年4月~1980年1月
        工事               1980年3月~1981年4月(建築)
                                            1981年3月~1981年6月(外構)
   設計者  : (株)象設計集団(設計競技 第一席入選者)
        名護市庁舎新築工事共同企業体
   施工者  : 建築・外構(仲本工業、阿波根組、屋部土建)

【開放された建物の名護市庁舎】

2.今帰仁村中央公民館見学

象設計集団の手掛けた地元住民の施設。真っ赤な柱(276本)と中庭に続く開放的な半屋外が特徴の建物。竣工2年後には芸術選奨文部大臣新人賞芸術選を受賞した。
竣工時は屋根に緑が茂っていたがその後台風等により無くなっている。2020年1月に塗魂インターナショナルとして、柱の塗装ボランティアにより再塗装されました。
塗魂インターナショナルとは海外で学校や病院、歴史的建造物の塗装を無償で行っているボランティア団体です。
中央公民館(公開資料)
   所在地  : 沖縄県国頭郡今帰仁村字仲宗根232
   敷地面積 : 4,956平方メートル   
   建築面積   :    1,455平方メートル
   延床面積   :    716平方メートル
   構造・階数: 鉄筋コンクリート造、1階建
   竣工   : 1975年10月13日
   設計者  : (株)象設計集団(協力 アトリエ・モビル)
   施工   : 仲里興業
 用途   : 公民館

 

3.沖縄美ら海水族館(おきなわちゅらうみすいぞくかん)見学
沖縄本島北西部の本部半島近くにある国営沖縄記念公園・海洋博覧会地区(海洋博公園内)の水族館。ジンベイザメ・マナティ他珍しい海洋生物を展示している。
沖縄本土復帰記念事業として1975年(昭和50年)に開催された沖縄国際海洋博覧会の海洋生物を展示した「沖縄国際海洋博覧会の海洋生物園」が出展された。その後、博覧会跡地に国営沖縄海洋博覧会記念公園を整備するにあたり、博覧会施設を受け継いで1979年(昭和54年)8月に「国営沖縄海洋博記念公園水族館」として開館した。短期間の博覧会用に建設した施設のため老朽化が著しくなってきたことから沖縄総合事務局が主体となって新館を建設し、旧来の水族館を2002年(平成14年)8月31日に閉館、沖縄本土復帰30周年に合わせて同年11月1日に新館を開館させ同時に現名称に改称された。(Wikipedia 抜粋)
沖縄美ら海水族館(公開資料)
   所在地  : 沖縄県国頭郡本部町字石川424番地
   延床面積   :   19,199平方メートル
   構造・階数: 鉄筋コンクリート造、4階建 一部SRC・S造
 竣工   : 2002年10月
   設計者  : 株式会社国建・國場幸房
 施工   : 鹿島建設・屋部土建・阿波根組JV

【最上階 水族館ゲート】 【海側より水族館全体を見上げる】


4.中村家住宅見学

 中村家住宅は戦前の沖縄の住居建築の特色を全て備えている建物です。沖縄本島内では、第二次世界大戦の沖縄戦を経てこのように屋敷構えがそっくり残っている例は極めて珍しく、当時の上層農家の生活を知る上にも貴重な遺構であるとのことで、1956年(昭和31年)に琉球政府から、1972年(昭和47年)復帰と同時に日本政府によって国の重要文化財に指定されました。現存する建物は18世紀中頃に建てられたと伝えられています。建築構造は、鎌倉・室町時代の日本建築の流れを伝えていますが、各部に特殊な手法が加えられて、独特な住居建築になっています。この遺構は、士族屋敷の形式に農民の形式である高倉、納屋、畜舎等が付随して沖縄の住居建築の特色をすべて備え持っています。屋敷は、南向きの緩い傾斜地を切りひらいて建てられており、東、南、西を琉球石灰岩の石垣で囲い、その内側に防風林の役目を果たしている福木を植え、台風に備えています、屋根は本瓦ぶき(明治中頃まで竹茅葺)、漆喰塗りで、屋根の上に魔除けのシーサー(獅子)をおいています。(ホームページ抜粋)  

【建物の中庭より】 【屋根には守り神シーサー】

注:シーサーとは、ライオン=獅子(しし)のことで、魔物や災いを追い払ってくれる沖縄の守り神で、沖縄に行くと個人宅や公共施設、歴史文化財など至る所でシーサーを見ることができる。守りたいものを背に災いが侵入してくる方向に向かって置かれ、1体のものと2体対になっているものがある。2体対のシーサーはオスとメスのペアで、口が開いている方がオス、閉じている方がメスです。諸説ありますが、口を大きく開いた「あ」から始まり口を完全に閉じた「ん」で終わる、仏教の「阿吽(あうん)」を表現しているといわれています。(じゅらんニュースより抜粋)

5.浦添市美術館(時間の都合で外観のみの見学)
  国道330号線から見える、ドームのような塔のような、不思議な建物。
この多国籍風の建物の正体は、沖縄県で初めて建てられた公立美術館、浦添市美術館です。設計者の故内井昭蔵氏は浦添市美術館の設計について、「塔と回廊による構造」をテーマにし、次のように解説しています。「建築は垂直方向に展開される塔性と、水平方向に展開される回廊性によって構成される。塔性とは足で地をつかんでいる人間、一つの世界を表現し、回廊性とは人と人、世界をつなぐ存在を表現する。人や世界は一つではなく、多くの人や世界とつながって共存し、より大きな存在となる。」
(参考:「塔と回廊による構造」『新建築 』 p249. 1990 新建築社)
浦添市美術館(公開資料)
敷地面積 7,066平方メートル
延床面積 3,360.89平方メートル構造 鉄筋コンクリート造/地上2階・地下1階
竣工 平成元年7月31日
開館 平成2 年 2月1日
設計・監理 (株)内井昭蔵建築設計事務所 (有)かみもり設計業務委託共同企業体

【独特のフォルムの建物が緑の中に建っています】

夕刻 宿泊先 那覇市 ホテルJALシティー那覇に到着 以後自由行動
沖縄のきっての歓楽街 国際通りに面したホテルで、夕食を摂りながら夜の街の散策、お土産探し等各自精力的に街の雰囲気を時間を忘れて感じていた様子でした。

3月11日(土曜日)
各自ホテル内レストランで朝食を摂る。那覇空港集合15時まで各自自由行動となる。
数グループに分かれ 再建中の首里城や鯨ウォッチング等楽しんだ。

【運良く鯨に遭遇 中央付近に鯨の背びれが覗いている。(中村玲子さん提供)】

15時那覇空港JAL出発カウンターに集合
予定通り那覇空港出発、偏西風が弱く定刻より15分遅れで羽田空港到着。
流れ解散。お疲れ様でした。